radioDTMリスナーの皆さん、お疲れ様です。
コヤマリョウです。
夜中に帰宅してテレビのチャンネルを回す、「あーオリンピックもうやってないんだ」と落胆するココ最近です。
ベタではありますが、勇気と感動をありがとう。
いつだってヒーローが誕生する瞬間は心が動く。
今回は私のヒーローの話。
このコラムでは私コヤマリョウが好きなモノを、文化人気取りでジャンルに拘らず節操無く紹介していきます。
あくまでも個人的な視点で対象に対して思った事・考えた事を書いていこうと思います。
このコラムで興味を持ってもらえたり、飲み会のネタの一つになってもらえれば光栄です。
テーマは「曝せ、SKY(サブカルクソ野郎)」です。
「強さとはなんだろう?」
そんな事を考えると、私はいつも真っ先にこの人の姿が浮かぶ。
プロレスラー・天山広吉(新日本プロレス)
1991年にデビュー後、90年代のプロレス界を席巻した狼軍団・nWoジャパンの急先鋒として一躍ブレイク。95年の海外武者修行からの凱旋直後の試合で長州力をピンフォールで沈め、越中詩郎をブチ切れさせたのは最早事件として現在でも語り継がれている。
天山選手のファイトスタイルは「とにかく前へ」。
余計な小細工なんか一切使わず、全身で相手にぶつかっていく。何回倒されても何回だって立ち上がり、頭突き一発喰らわしてやる。そんな天山選手をプロレスファンは「不屈の猛牛」と称え、これまでに4回IWGPのチャンピオンの座に輝き、3回のG1クライマックス制覇を達成している。
そして、ここからが今回の本題。
そんな天山選手も今年で41歳。2009年から2010年にかけての怪我による長期離脱もあり、現在ではトップ戦線からは離れてしまっている。もうシングルマッチでチャンピオンになる事はないかも知れない。
それでも天山選手のファンからの人気は今でも衰えていない。いや、むしろ現在でも評価を上げ続けている。
その大きな要因の一つが、デビューからの変わらぬファイトスタイルにあると考える。
プロレスラーとしてデビューしてから20年、ベテランの域に達した天山選手は今でも引く事を知らない。とにかく前へ、何回だって立ち上がる。
私はこのコラムでプロレス・プロレスラーの魅力について書いた事がある。
その中で私の思うプロレスラー像を、
男の子なら誰もが一度は憧れるスーパーヒーロー、
その憧れを諦め切れなかった馬鹿野郎達がプロレスラーです。
プロレスにおいてはただ相手を痛めつけるだけの強さなんて、強さではなく、
人を惹き付ける格好良さがないとプロレスラーでは一番になれないのです。
熱い奴・クールな奴・明るい奴・乱暴な奴、それぞれが思い描くヒーローに変身して、
プロレスラー達は戦いに挑む。
と、表した。
それは正に今現在の天山広吉の事だ。
現在では団体のトップ戦線に絡む事も無く、前座の試合や後輩レスラーの引き立て役が多く勝ち星に恵まれない天山選手。それでも彼は腐る事なく今日も全力で闘っている。
理由は簡単だ。自分が思い描くスーパーヒーローに今でもなりたいからだ。
若手選手の台頭、40歳を超え思うように体も動かない、それでも天山選手は若手の頃と1ミリも変わらない気持ちで全身で相手にぶつかっていく。
決して美しい見た目でも無い、華麗な技も無い、
それでもどんなにボロボロになっても戦い続ける天山広吉は美しい。
先日開催されたプロレス界の一大イベント、G1クライマックス。
天山選手は最終日を待たずに予選リーグでの敗退が決まった。
迎えた両国国技館での最終日、相手は現在の新日本プロレスのエースの一人である中邑真輔。
会場の注目はどうしても優勝決定戦への出場者。大会二連覇を目指す中邑は序盤からえげつない程の攻めで天山を苦しめる。その試合4回目の中邑の必殺技ボマイエ(助走をつけての超強烈な膝蹴り)が繰り出された瞬間、ドラマは起こった。天山は全力で立ち向かい、頭突きでボマイエを迎撃した。流れを掴んだ天山はそこから反撃に転じた、もう腕も足も動かないから頭突きを打ち続けた。「無様でも良い、とにかく前へ」そんな気持ちが会場の一万人の心を動かした。結果、天山が大勝利を上げた。技術でも体力でもなく、気持ちで取った勝利だった。
勝負が決まった瞬間、天山選手はコーナーポストに倒れ込んでしまった。
そこには一万人の「天山コール」とボロボロのスーパーヒーローの姿があった。
「強さとは何だろう?」と考える。
私は強さとは「諦めの悪さ」だと思う。
毎日、生きていれば色々な壁が立ちはだかる。情けない事に私はその壁に理由をつけて納得しようとしてしまいがちだ。
そんな時に私の頭の中にヒーローの姿が浮かぶ。
私は決して器用に物事をこなせるタイプの人間ではない。
色んな事でくじけそうになる。
それでも最後まで笑って、諦めの悪い男でいたいと思う。
天山選手の名タッグパートナーである小島聡選手は、
(二人合わせて「天コジタッグ」)
こう言った。
「アイツ(天山)と組めばいつだって青春時代になる」
大人になってその言葉の意味が分かった気がします。
【コヤマリョウ】